12月25日(土)『結局新型コロナの影響を受けた1年でした』
今年の診療も残すところあと2日となりました。 現在新型コロナウイルスの新規感染者はまだ落ちついていますが、オミクロン株の市中感染が各地で確認されており、今後第6波となる可能性が高いようです。 結局今年も新型コロナウイルスの影響を受け続けた1年になってしまいました。 つい最近までのように新規感染者が少ない状況であっても、新型コロナが発生した前のような来院患者さんの数には戻りませんでした。 各種業種も大きな影響を受けているので、仕方ないですね。 夏には東京オリンピックが開催されました。 くじ運は全くないのに、東京オリンピックのチケットは体操種目別決勝が当たりました。 楽しみにしていましたが、無観客開催に・・・(涙)。 結局くじ運はだめでした・・・。 まだまだ先行きは見えませんが、来年の終わり頃には忘年会もクリスマスパーティも安心してできる状況だといいですね。
11月28日(日)『網膜剥離その後』
新型コロナウイルスの感染は、国内では新規感染者数が減少して今日の東京都の発表では9名と落ち着いた状況になっています。 しかし、つい数日前に南アフリカで多くの変異を伴うオミクロン株の流行が報じられ、今後の感染状況が懸念されています。 大きな流行になることなく過ぎ去ってくれることを願っています。 さて、昨年12月に右目の網膜剥離を罹患して緊急手術を受けてからまもなく1年が経とうとしています。 おかげさまで、日常的には支障ない状態で通常診療を行うことができています。 網膜剥離は、加齢による硝子体収縮により硝子体が網膜からはがれていく後部硝子体剥離が生じる際、硝子体と網膜の癒着があった場合に網膜が引っ張られて網膜裂孔という穴が開き、そこから網膜の裏側に眼球内の水が入り込むことによって網膜が剥離してしまうことによって生じます。
放置すると剥離が進んでしまい最悪の場合失明に至る恐ろしい急性疾患です。 私の場合、根治的な手術として網膜硝子体手術を受けました。 剥がれた網膜を修復し、硝子体を除去して術後には網膜を圧迫して再剥離を起こさないよう一時的にガスを充填します。 硝子体手術を行うと白内障が進行してしまうため、白内障手術も同時に行います。 術後は硝子体がなくなって水に置き換わり、水晶体は人工レンズになりました。 私の場合子供のころから飛蚊症の自覚が強いほうですが、手術をした右目は硝子体がなくなったため不快な飛蚊症がなくなりました。 網膜剥離の原因となった硝子体が除去されているので、右目は安心感があります。 人工レンズは単焦点のものであるため右目に関しては50cmぐらいの距離に焦点が合っています。 視力に関しては左目が補ってくれるので、日常的にはあまり支障ありません。 裸眼で新聞を読むこともできますし、遠くのものもある程度は見ることができます。 ただ、老眼が始まっているので近くのものをクリア見ることはできなくなりました。 日常診療では、耳に関してはもともと拡大耳鏡か処置用顕微鏡を用いているので支障ありませんが、鼻腔や口腔、咽頭を見るときは裸眼になるため詳細な観察には光源のついたルーペを使って対応していました。 この4月に老眼鏡を作成し、それからは必要な時に眼鏡をかけて診療をするようになりました。 このように、現在では手術を受けた右目のほうが飛蚊症もなくクリアな視界となっています。 一方で左目は不快な飛蚊症があり、外側の視野には暗闇で眼を動かしたりすると光の線が見える光視症という症状や視野の違和感があり、つい先日術後経過を見てもらっている眼科で診てもらったのですが、これも加齢による後部硝子体剥離の症状で、現時点では問題ないという説明を受け安堵したところです。 今年は診療に穴をあけるようなことなく、残り少なくなった2021年を乗り切りたく思っています。
10月29日(金)「口呼吸から鼻呼吸へ改善させるマウステーピング」
約1週間前の10月21日(木)、医院の自室テレビで羽鳥慎一のモーニングショーをつけていたら、病巣疾患研究会副理事長のみらいクリニック今井一彰先生が「口呼吸から鼻呼吸へ改善させるマウステーピング」についての内容で登場しました。 今井先生とは同研究会を通じてのお知り合いです。 今井先生はこの8月に「世界一簡単な驚きの健康法マウステーピング」という書籍を発行されています。
より良い睡眠をとり健康でいるために口呼吸から鼻呼吸へ改善することが大切であり、それにはマウステーピングが有効だといいます。 併せて、口の周りの筋肉を鍛える「あいうべ体操」を並行して行うのが良いそうです。 病巣疾患研究会のメインテーマである慢性上咽頭炎の原因・悪化因子のひとつとして口呼吸が挙げられています。 鼻呼吸では鼻毛や粘液で空気中の異物(塵や細菌類など)をろ過し、外気を速やかに加温・加湿します。 鼻の奥の上咽頭では扁桃リンパ組織がさらに防御して異物が肺に入るのを防ぎます。 口呼吸ではこれらの加温・加湿・防御機能が働かず、脳への酸素供給が減ります。 その結果口が乾燥して、唾液による細菌感染や虫歯予防効果、消化効果、粘膜保護効果などの機能が低下します。 口呼吸は歯周病を悪化させ、その結果繁殖した歯周病菌や炎症でできた物質が歯肉の毛細血管から入りこみ、動脈硬化(脳梗塞、狭心症、心筋梗塞)や糖尿病などを悪化させる要因にもなります。 脳への酸素供給が減ると、心臓の負担を減らすため血液を尿として出そうとする利尿ホルモンが働くため夜間頻尿の原因にもなります。 加温・加湿・防御機能が働いていない呼気が上咽頭にも影響を与えるため、口呼吸は慢性上咽頭炎の悪化因子にもなります。 この書籍には、口呼吸が原因となる可能性として多くの症状や疾患が挙げられています。 本に載っている疾患として、アトピー性皮膚炎、花粉症、喘息、睡眠時無呼吸症候群、リウマチ、高血圧、口内炎、虫歯、歯周病、歯肉炎、過敏性腸症候群、掌蹠膿疱症、かゆみ、糖尿病、頭痛、湿疹、不整脈、夜間頻尿、うつ病・パニック障害、風邪・インフルエンザ、副鼻腔炎・後鼻漏、肩こり・首こり、ドライマウス、口唇閉鎖不全症などが挙げられています。 これらの疾患がマウステーピングと「あいうべ体操」により改善する可能性があるとされ、実際の改善例が紹介されています。 上記疾患には、慢性上咽頭炎に対する治療で改善が期待できる疾患がかなり重複しています。 本書では、コロナ後遺症に対するマウステーピングと上咽頭治療の有効性が示されています。 けれど、マウステーピングと「あいうべ体操」だけでいろいろな不調が改善するとしたらすごいことですね。 当院でも慢性上咽頭炎の治療の一環で、口呼吸に対する口テープ(マウステーピング)の使用を患者さんに紹介しています。 市販品でもマウステーピング用の商品が発売されています。 私もサンプルとして手元に口とじテープを持っていますが、実際に使用したことはありませんでした。 けれども、番組やこの書籍を見てこれから試してみようと思っています。 私も年齢と前立腺肥大のためか夜間トイレに行くことが多くなってしまっています。 より積極的にマウステーピングを患者さんにもお勧めしてみようかと思い直しています。 実際に写真に示す口とじテープは当院で購入(1個800円)できますので、ご希望の方はお申し出いただければと思います。
余談ですが、番組では視聴者から今井一彰先生への質問コーナーが設けられました。 その質問の中に「今井先生は堺雅人に似ていると言われませんか?」という、半ば冗談めいたものがありました。 今井先生は羽鳥さんにけしかけられ、“倍返しだ!”を言わされていました。 ご本人もまんざらでもないのかも知れませんね・・・(笑)。
9月27日(月)「慶應義塾大学医学部耳鼻咽喉科学教室創立100周年記念式典」
9月25日(土)に六本木アカデミーヒルズにおいて、慶應義塾大学医学部耳鼻咽喉科学教室100周年記念国際シンポジウムならびに記念式典が行われました。 同医局には大学卒業後の昭和63年に入局し、平成13年7月防衛医大に赴任するまでは教室員として在籍していました。 慶應義塾大学病院は大正9年(1920年)9月16日に開院し、同年10月15日に診療が開始されると同時に耳鼻咽喉科学教室が開局しました。 本来100周年は2020年の10月になるので、記念式典も昨年開催されるはずでしたが、新型コロナ感染症の影響でこの日に延期されました。 それでもなお緊急事態宣言下の開催となったため、現地での参加者は48名で、およそ130名はネット配信での参加となりました。 前半はこの4月から第7代の教授に就任した小澤宏之教授を含む3題の講演があり、その後記念式典が行われ、記念ムービーの上映に引き続き、教室の沿革について前教授である小川郁名誉教授によるプレゼンテーションが行われました。 その後は来賓の挨拶をいただいて参加者全員での記念撮影後閉会となりました。 残念ながら、飲食を伴う懇親の場は行われませんでした。 限られた人数での式典だったので出席すること自体に緊張気味でしたが、同期入局だった3人が揃い、小澤教授にも就任以来初めて会うことができ、また当時の腫瘍班のメンバーも出席していたので参加してよかったと思いました。 当日の写真を載せます。 右から2人目が小澤教授で腫瘍班のメンバーになります。
100周年にあわせて記念誌が発行される予定です。 医局に在籍していた同窓会にも原稿の依頼が来ていたので、同医局入局とともに運命づけられたような半生を振り返って投稿しました。 そこに掲載する写真を載せますが、慶應義塾大学病院で腫瘍外来を行っていたときの写真です。 若かりし日の姿です。
8月22日(日)「フジロックの森」
新型コロナウイルスデルタ株感染の第5波が猛威を振るっている中、おととい8月20日から新潟県湯沢町の苗場でフジロックフェスティバルが開催されています。 昨年はコロナウイルス感染のため中止となりましたが、今年は東京五輪が開催されたこともあってか強行開催されています。 例年ですと10万人を超える延べ人数の参加者で賑わいますが、今年は入場者を半分程度に制限しているということです。 会場となる「フジロックの森」にはこの時期だけ大挙して大勢の人で賑わいますが、それ以外の時期はひっそりとして癒しの森でもあります。 今年のフジロック会場の案内図となります。
メインとなるSTAGEはGreen Stageです。これは2016年のGreen Stageの模様です。
多くの人が訪れます。開催の5日前にあたる、8月22日に現場の様子を見てきました。
この頃は秋雨前線が列島にかかり西日本では大雨、ここ苗場も雨模様でしたが準備が着々と進められていました。 これはWhite Stageを建てている様子です。 普段のGreen Stageは、このような草原になっています。 Green Stageから各会場へは、この橋やボードウオークという森の中の整備された木道を歩いて移動します。 左の橋は「みどり橋」といい、2020年9月に竣工されました。
それまでも木の枠組みだけの橋が架けられていましたが、ここは豪雪地帯で冬季には雪で埋もれてしまいます。 そのため、毎年冬季の前に撤去されて翌春にかけ替えられていましたが、コンクリート製のみどり橋が完成したため当面はこのままの姿になることになります。
7月20日(火)「慢性上咽頭炎の新しい論文が掲載されました」
R2.9月の院長日記に、日本口腔・咽頭科学会で上咽頭擦過療法のパネリストとして口演したことを載せました。
この度、その発表内容を論文にしたものが同学会誌に掲載されました。
J-Stageで見ることができます(こちら)。
今回の論文では、前回明確ではなかった鼻咽腔内視鏡所見の重症度判定を、上咽頭粘膜の発赤・腫脹の程度を4段階(なし0、軽度1、中等度2、高度3)で評価し、これに後鼻漏、痂皮がみられた場合に3段階(なし0、+1、++2)で加点する方法をとりました。
局所所見の改善率は72.8%でした。主訴(いちばん主となった症状)の内訳と改善率です。
表2は、アンケート用紙を用いて各症状の改善について検討した結果です。
今回はアンケート用紙に記載してあった全ての項目で有意な改善が見られました。 その他の項目としては嗄声(声がれ)疲労倦怠感などの症状で有意に改善しました。 表3は、局所所見と主訴の改善との間に有意な関連のみられたことを示しています。これらの学会発表や論文に関しては、病巣疾患研究会理事長である堀田修先生をはじめ、同研究会の先生方などのお力添えがあってのものです。 この場を借りて御礼申し上げます。
6月25日(金)「新型コロナウイルス感染後遺症と上咽頭擦過療法(EAT)」
新型コロナウイルス感染後の後遺症が問題となっています。
6月20日に、日本病巣疾患研究会のオンラインビデオセミナーが開催されました。
私も「上咽頭擦過療法(EAT)の手技について」という題名で講演しましたが、同研究会副理事長の今井一彰先生が、「Long COVIDに対するEATの治療経験」という題名で、新型コロナウイルス感染後の後遺症症例に対するEATの有効例についてご講演されました。
同研究会理事長の堀田修先生が、2021年5月22日発行のWeb医事新報に「COVID-19後遺症の陰に慢性上咽頭炎」という題で記事を発表しています。
その内容は、
「PCRで新型コロナウイルス(COVID-19)が検出されなくなった後も体調不良が数カ月以上残る患者の存在が世界的に認識されるようになった。症状は倦怠感、慢性咳嗽、頭痛、気分の変動、集中力低下、うつ、不安、幻覚、胸の痛み、呼吸困難、動悸、息切れ、味覚・嗅覚の消失、耳鳴り、眩暈、しびれ、胃腸の不調、食欲不振、湿疹など多岐にわたる。重症肺炎に陥った患者がその後も息切れや呼吸困難を感じるのは肺に器質的障害が残ったことで説明可能だが、軽症COVID-19患者もこうした様々な症状が認められるのはなぜか?
PCR検体採取部位でもある上咽頭の急性炎症は季節性コロナ感染症では必発であり、COVID-19においても同様である。上咽頭粘膜下のうっ血は急性上咽頭炎の特徴の一つだが、ウイルス消失後もうっ血が残存する病態が慢性上咽頭炎である。上咽頭の慢性的なうっ血状態である慢性上咽頭炎が自律神経障害をはじめとする脳機能に影響を及ぼすことは1960年代に既に日本の耳鼻咽喉科医により報告されていたが、医学界での注目度は低く、「慢性上咽頭炎」という用語は現在も一般の医学書には記載されていない。上咽頭は脳からの老廃物がリンパ管を通って深頸部リンパ節に向かうリンパ路の要所で、同部位のうっ血は通過障害を来し、その結果として脳の機能異常を生じることが機序として想定されている。治療は塩化亜鉛溶液に浸けた綿棒で上咽頭を擦過する上咽頭擦過療法(EAT)である。
まだ症例数は少ないが筆者を含め、患者を診療した日本病巣疾患研究会の医師らによれば、これまでのところ例外なく激しい慢性上咽頭炎が確認されており、新型コロナ後遺症患者において慢性上咽頭炎が存在する頻度は少なくないことが推察される。慢性上咽頭炎はEATで改善しうる病態であるため、慢性上咽頭炎が存在するPASC患者において、安価で簡便なEATを積極的に試みる価値は高いと思われる。」
とされています。
6月6日に放送されたテレビ朝日サンデーLIVE!!では目白もちづき耳鼻咽喉科で、また同日のNHKあさイチでもヒラハタクリニックで新型コロナウイルス後遺症外来が開設されており、EATの有効性が示唆されています。
ヒラハタクリニックの平畑光一先生によりますと、倦怠感・発熱・頭痛・身体の痛み・息苦しさ・咳・動悸・思考力の低下・嗅覚障害特に「煙臭い、焦げ臭い」という症状ほぼ確実に治るとされています。
平畑先生は自身のHPの中で、「新型コロナ後遺症の治療は、EATなしで語ることはできません。施行している方は施行していない方に比べて、明らかに改善しやすい傾向があります。」と記しています。
平畑先生は冒頭に出した今井先生の講演に対しても同様のコメントをされていました。
慢性上咽頭炎患者の自験例でも、頭痛、咳嗽、微熱、倦怠感、疲労感、睡眠障害などはよく見られる症状であり、新型コロナ後遺症患者の症状と重なるものが多々見られます。
現段階では後遺症の確立された治療法はないとされていますが、今後EATがその治療法のひとつとして着目される可能性は高いかも知れません。
5月26日(水)「新型コロナワクチン接種」
新型コロナワクチン接種は医療従事者が最優先となるため、西多摩医師会員として5月1日に1回目、22日に2回目の接種を受けてきました。
現在第4波のピークは過ぎつつある状況ですが、全国のコロナ重症患者は今なお人数の記録を更新している状況で、まだまだ安堵できる状況ではありません。
第4波は変異株であるイギリス型に置き換わることにより、感染力、重症化率が高まりました。
さらに感染力の強いインド型のクラスター発生も報告されており、今後の動向を懸念しています。
現在各自治体で行われている、医療従事者や高齢者に対する集団予防接種では、ファイザー製のワクチンが用いられています。
5月13日の朝日新聞(夕刊)に、『ファイザー製接種 変異株に中和抗体』という記事が載りました。
横浜市立大学の研究チームが発表したもので、同ワクチンを2回接種した結果、英国型94%、インド型97%と、どの変異株でも9割以上の人で、十分な中和抗体がつくられたということです(下表)。
これは、このワクチンを接種することによって変異型を含むコロナウイルスに9割以上の感染予防効果があるということで大変心強い報告でした。
ワクチン接種が進んで、集団免疫が獲得されれば新型コロナウイルス感染症は収束に向かうことが期待されます。
さて、実際に接種を受けてみて副反応はどうだったかという点ですが・・、私の場合はけっこう強く出ました。
1回目の接種後、当日夜中から頭痛がはじまり、翌日と2日目に解熱鎮痛剤を服用しました。
2回目の接種後は翌日の午前中から37.5度程度の発熱と強めの倦怠感が出現し、何もできず寝ている状態でした。
夕方には38度の高熱となったため、ここで解熱鎮痛剤を服用しました。
1回目は大型連休の前日、2回目は土曜日であったため、診療を休むようなことはありませんでしたが、そこそこきつかったです。
副反応には個人差があって、当院職員では約半数が発熱した一方で、「なんとありませんでした」、という職員もいました。
このように副反応の発現率は結構高いようですが、上述した効果を考えると私個人的な意見としては、皆さんに接種を受けられることをお勧めしたいと思います。
逆に5月8日からは、接種を担当する側として出動しました。
福生市の集団予防接種では、医師は問診の担当となります。
この時は、問診の対象が医療従事者だけでしたので比較的順調に済みましたが、これからは持病の多い高齢者を問診することになります。
さらに、各診療所での個別接種の依頼も来ています。
当面、緊張感を持って対応していきたいと思っています。
4月18日(日)「ビデオキャプチャとの戦い」 先月に引きつづき、PC関連のマニアックな話題となります。 内視鏡画像などを保存する場合、一般的には「画像ファイリングシステム」を導入してデジタル管理します。 要するに、あるメーカーの専用システムを導入して、患者さんの内視鏡画像などを保存し、経時的に表示したりして活用します。 また内視鏡画像だけでなく耳鼻咽喉科でいえば聴力検査の聴力図などを電子カルテに取り込んで管理する方法もあります。 しかし、「画像ファイリングシステム」を導入することによりコスト(多分100万円ぐらいはかかりそう)や、このシステムのために別途PCやモニターが必要になります。 現在はデジタル化が一般化しているため、当院でも電子カルテ、診療予約システム、CTおよびレントゲンの表示のため、診察室にはモニターが3種類同時稼働しています。 画像データなどを電子カルテに取り込むと容量が非常に多くなり、システムに負担がかかったり表示に時間がかかったりすることが懸念されます(実際にそうなるかはわかりません)。
そこで当院では開業当初から繁用性のPCを用いて画像やデータを保存する方法をとってきました。
これはPCに取り込んだ、慢性上咽頭治療前後の内視鏡所見の1例です(画質は下げてあります)。 各患者さんごとにファイルを作り、そこに聴力図や電子カルテに取り込めない細菌培養結果などを原始的にスキャナで取り込んで保存しています。 内視鏡画像に関しては、電子ファイバースコープシステムの映像出力端子(S端子)からPCに、USB端子で変換入力できるデバイスをつないで取り込むようにしました。 開業当時はAppleのeMacを用いており、テレビなども視聴できるデバイスのビデオ入力端子から内視鏡画像を取り込んでいました。 ところがこれが調子悪くなってしまいました。 画像を取り込むためには「ビデオキャプチャ」というソフトが必要になります。 このようなソフトを使う用途としては全く医療用などではなく、過去にアナログで撮ったビデオをデジタルに変換して保存したり、ゲームの画像や動画を取り込んだりすることに使われます。 要はその「ビデオキャプチャ」を利用して画像を取り込むようにした訳です。 まず導入したソフトは、Area (エアリア)社のものでした。
ネーミングがすごいですね。 正式にはSD-USB2CUP-WMという型番ですが、パッケージには『美男子の捕獲術』と書いてあります。 その後、eMacの調子が悪くなり2016年にはWindows10のPCに移行しました。 このソフトはMacintoshとWindows両方に対応していて、MacからWindowsに移行する際にも役立ちました。 Windowsは定期的に(第2水曜日が多い)システムの更新が行われます。 Windows updateなのですが、どうもupdateがかかると『美男子の捕獲術』に影響が出てしまうようで、あるときから画像を取り込むキャプチャ画面の片隅にしか画像が表示されなくなってしまいました。 メーカーに確認すると、「システムの更新などにより縮尺されてしまうことでその座標面を失い、画面の一部が表示されない症状が出ている」との回答でした。 けれど、静止画、動画の保存もできていたのでそのまま運用していました。
ところが、先月のWindow updateのあと、なぜかキャプチャ画面に画像が全体に表示されるようになったのですが、画面がちらついてしまい、それがそのまま取り込んだ静止画や動画にも影響して乱れてしまう現象が起きてしまいました。 内視鏡画像がうまく取り込めないと大変支障があります。 そこで予備のために買ってあったPrinstonのソフトを試してみました。
試してみると一応取り込めたのですが・・・、内視鏡のモニター画面とPC上のキャプチャ画面に1秒程度のタイムラグが生じるのと、この機種で取り込むソフトの画面がやや横長に表示されて縦横比がずれてしまい、要は使えませんでした。
そこで、ヨドバシカメラのビデオキャプチャが置いてあるブースで品定めをして買ったのがio-dataのソフトでした。
これには取り込み用のソフトである「Light Capture」というソフトが付属していました。
インストールして繋いでみて、映った~!と思ったら、今度は縦長の画面になっていました(涙;;)。
どうやら、このソフトは過去のアナログビデオなどをDVDに変換して保存することが主目的なため、一時的に取り込んだPCの画面の縦横比のずれは問題にしないようです。
設定画面から、画面の比率固定を解除して手動で画面が正方形になるように変形すると、およそ正方形の画像取り込みができましたが、ずれるたびに修正しないといけないし、PCの画面上に物差しを当てて目測での設定になってしまうので、正確ではないし・・・。
そこで、さらにサンワから出ている他のビデオキャプチャもアスクルから取り寄せてみました。
そんな試行錯誤をしていたところ、このサンワのキャプチャも『美男子の捕獲術』で使用していたShowBizという映像編集ソフトを使用することがわかりました。
ShowBizは『美男子の捕獲術』の専用ソフトだと思っていたら、映像編集用のフリーソフトだったのです。
そこで、もしやと思ってio-dataのデバイスの画像がShowBizで取り込めるのでは・・・
繋いでみると見事に映りました(万歳!)。
しかも正方形で画面の乱れもありません。 これがShowBizのキャプチャ画面になります。 見えにくいですが、画面中央下の赤い●キャプチャボタンを押すと動画が、右下のカメラマークを押すと静止画が取り込めます。 強いていえば『美男子の捕獲術』よりも赤みが強く出てしまう傾向でした。 あとで届いたサンワのキャプチャも同様に取り込むことができて、画面の赤みはio-dataのものと同様でした。 結局購入したビデオキャプチャは4種類、と言っても各ソフトは5千円弱ぐらいなので100万円ぐらいする「画像ファイリングシステム」とは比になりません。 保存した画像は、学会発表や学会誌投稿に使うのにも全く遜色ない画質です。 長々と、自分なりの苦労話を書きつづりました。 何か参考になればと思います(ならないか・・・笑)。
3月16日(火)「旧電子カルテ復活しました」 当院では開業したH19.8月より電子カルテを用いて診療を行っています。 当初は東芝のTrinityというシステムで運用していましたが、正直種々のトラブルなどがあり5年間で現在のシステムであるラボテックのSuper Clinicに移行しました。 旧電子カルテにはH24.7月までの診療録が残っているため、その本体とモニターだけ残して過去カルテの閲覧をしていました。 半年ぐらい前からだったでしょうか、その旧電子カルテのPCの電源ボタンを押しても戻らなくなってきて、指で戻すようにして起動させていたのですが、3月2日の朝にとうとうボタンが破損して戻らなくなってしまいました。 そこで、旧電子カルテのサポートに連絡して修理ができるか聞いてみたのですが、PC本体は型が古くてメーカーのサポートは終了しているから無理だということでした。 電源ボタンだけの不具合なので、内部のHDにはデータが残っています。 それと外付けHDにもデータのバックアップが残っていて、Windowsの旧OSであるVistaでは閲覧できたのですが、現在のWindows10では閲覧できません。 このHDのデータを取り出したりできないか聞いてみたのですが、やはり電子カルテのシステム自体が古いので対応できないと宣告されてしまいました。 カルテの保存期間は5年とされていて、残っているのは今から9年以上前の記録ですから失っても仕方ないのですが、当時受診されている方のデータや処方内容などは今でもたまに参照することがあります。
そこで「PC修理、福生」と検索するとPCショップ「ぶー」というお店がヒットしました。 問い合わせてみると修理受付はできます、というのでだめ元で3月4にPCを持っていきました。 すると、筐体は変わるものの修理は大丈夫そうだということでした。 翌日の夕方に「ぶー」さんから電話があり、18,500円という思っていたより安価で直るということでした。 そして3月11日午後に取りに行くと見事に復活していました。 どんな筐体になるだろうと思っていましたが、なかなか素晴らしい外観です。
右にあるのが現在の電子カルテですが、ずいぶん大きいですね。
ちなみで壊れたPCも同じぐらいの大きさでした。
画面もこのように閲覧できるようになりました。
地元の頼れるPCのお店を知ることができたのも、大きな収穫でした。
2月25日(木)「井の頭公園の河津桜」
散歩コースとなっている井の頭公園ですが、三鷹の森ジブリ美術館近くには早咲きから遅咲きの桜が植えられています。
まだ2月の後半だというのに咲き誇る桜の木があり、調べてみると河津桜でした。
「東京 河津桜 名所」と検索すると井の頭公園はなんと3番目に出てきます。
これがその河津桜です(2月23日撮影)。
まだ花びらは全く散っていなくて満開です。
ここには4本の河津桜が植えられています。
そのすぐ横にも種類はわかりませんが早咲きの桜の木があって、咲き始めていました。
この手前の木を反対から見ると、ジブリ美術館が見えます。
黄色い建物がそれです。
ここではソメイヨシノが終わったあとに咲く八重桜もあり、長い期間花見を楽しむことができます。
話は全く変わりますが、この院長日記H23年11月に「おじいちゃんと言われてびっくり」という記事を書きました。
つい4日前、息子に長男が誕生して本当におじいちゃんになってしまいました。
先日の入院の時もそうでしたが、嫁が出産した病院は面会することができずまだ初孫と対面していません。
今日帰宅後に会えるので、まずは抱っこしてみたいと思います。
1月25日(月)「品薄となるコロナ関連用品」
先週の1月21日午後、先月患った網膜剥離術後の診察に大学病院へ行き術後経過は順調であとは近医でのフォローということになりました。
ご心配、ご迷惑をおかけしましたが、 お陰様で無事に回復いたしました。
新型コロナ感染症ですが、第3波となる感染者は年末から急増し、今月1月8日に東京都では二回目となる緊急事態宣言が発出されました。
その前日の1月7日には、東京都の新規感染者が2,447名となり、その人数に驚かされるとともに強い危機感を感じました。
同日注文してあったタブレット型サーマルカメラ(写真)が届き、ちょうど緊急事態宣言発出当日の1月8日から医院の入口前に設置することができました。
使ってみると感度は良く、瞬時に体温を表示するとともに音声でも伝えてくれます。
マスクをしていないと、その旨音声で警告してくれます。
ご来院の際は、待合室にはいる前に検温と手指消毒を全員行っていただきますようご協力をお願いいたします。
現在コロナ感染者の増加に伴い感染が判明してもすぐに入院や宿泊施設に入ることができず、自宅療養を余儀なくされている患者さんが大勢いらっしゃる状況です。
自宅療養をしているうちに重症化してなくなられる方がいると報道されています。
肺炎となって重症化しているにもかかわらず、自覚症状が乏しいケースがあるようです。
そのような場合に有用とされているのが、血中の酸素飽和度を簡単に計測することのできるパルスオキシメーターです(写真)。
当院では数ヶ月前に入手することができていましたが、現在その有用性が報道されるようになってからは入手困難になっています。
需要が高まっていることが要因ですが、一時のマスク不足の時のようにこういった商品を買い占める「テンバイヤー」の存在も関係しているのではないでしょうか。
営利目的の買い占めは慎んでもらいたいものです。
春ぐらいに入手困難となっていたマスクは今や簡単に買うことができます。
ちょっと前に50枚入りの不織布マスクも300円台で販売されているのを見ました。
一時はその10倍ぐらいで堂々と売られていたと思いますが、本来は200円台で買うことのできるものでした。
ここに来て、第3波のピークは超えつつあるようです。
来月終わりからはワクチン接種も順次始まるという報道になっており、このままピークアウトしていくことを期待したいものです。
Hozzászólások